カウンセリングのススメ

第七回

今回のテーマは「感情の支配」です。

Wendy21 米島健二

 喜怒哀楽。こらえられなくなる感情としては、「怒り」が一番厄介でしょうか。
 意味もなく笑い、訳も無く怒る。入院中、退院後も同じ病気の仲間と過ごしていて、一番ぶつけられて迷惑な感情が、この「怒り」って奴でした。感情のコントロールがおかしくなっているのでしょう。僕もそういう状態になる時があります。
 いわゆる被害妄想という状態ですが、回りの人は本当に困るし、いわれもなく怒りの感情をぶつけられると、正常な人でもつらい思いをします。ましてや精神の病気を抱える人間は相当のショックを受けてしまいます。
 何にそんなに腹を立てるのか?
 快・不快の感情は、いともたやすくストレスや薬物の影響を受けます。これを「感情の支配」と勝手に呼びますが、決して不快な感情に突き動かされないように。常に理性で行動する習慣を身につけたいものです。怒りが爆発するのを抑えるのは、理性を鍛えじっくり考えてから行動する習慣を身につける以外ありません。考えれば考えるほど怒りが増大するケースもありますが、大概の怒りは、考え方の方向によって抑えることが出来ます。
 聖人君子になれと言う事ではないのです。言いたいことを言い合って、時には喧嘩したり傷つけ合ったり……。そんな人間らしい生活の中にこそ幸福があるという考え方もあるのですから。ただ一時の怒り、それも外的な要因の怒りで人間関係を壊してしまわないよう注意してあげないといけません。
 入院中仲良くしていた人にもう逢えない。死んだわけではない。閉鎖病棟で迷子になっているのでしょうか。運動場にも出てこない。気になります。
 精神病に感情を支配され、理性を危くしている人が大勢います。適切なカウンセリングを定期的に行えば、治療とまでは言えないかも知れませんが、患者さんの精神状態を楽にさせてあげることが可能だと思います。実際とても苦しいのです。出口を探しているのです。合理的な解答を求めているのです。
 残念なことに、病棟でのカウンセリングは殆ど行われていず、患者同士で宗教に誘いあったり、天然のピア・カウンセリングのようなことで気をまぎらそうとしているのが現状のようです。
 我々がもっと勉強し経験を積んで、いつか病棟に、彼女ら彼らを救い出しに行けたらいいなと思います。